「デジタル地図帳 for School」は、簡単な設定で、「地理院地図」のビューア やleaflet.js で読み込めるオープンデータの地図タイル(※1) です。教育や学習での利用を念頭に、各ズーム段階によって地図上の情報を最適化しているので、既存の公開タイルと比較して、低いズームレベル(※2) でも、地図として違和感がすくないという点が特徴です。2024年5月8日より下記のurlにて無料で公開しており、どなたでも自由にお使いいただけます。
https://www.hcpc.co.jp/tiles/{z}/{x}/{y}.png
※パンフレット右上に掲載の二次元コードで表示される、追加機能組み込み参考サイトはまもなく公開を終了します。
なぜ教育用に新しいデジタル地図が必要なのか?
現在ネットで公開されているデジタル地図は、目的地へのルートを見つけたり、店を探したりするのに便利なものです。地名やランドマーク、店舗情報の収録数だけを比較すれば、それらの地図は、私どもが今回作った地図よりも何百倍、何千倍という情報を持っています。それなのに、屋上屋を架すように、いまさらデジタル地図を公開するのはなぜでしょうか。これは、当然の疑問だと思います。以下の地図をご覧ください。
Google Map
デジタル地図帳 for School
左がGoogle Map、右が今回リリースする教育用デジタル地図です。比較しやすいように、2つのデジタル地図を、学校で使っている地図帳と同じような縮尺で表示してみたものです。二つの地図がほぼ同じ縮尺でほぼ同じ領域を表示していることがおわかりいただけると思います。一目瞭然ですが、たくさんの情報を持っているはずのGoogle Mapが、教室でよく使われている縮尺(おおよそ、50万分の1~100万分の1)になると、地図上の情報量が極端に減ってしまっています。
これは、いままでのデジタル地図が、お店探しや詳細地形を見せるために最適化されたものであり、そこへ至る途中の縮尺で表示される地図は、いわばインデックスのような位置づけになっているからです。
今回、当社が公開するデジタル地図は、この「インデックス」領域の地図を充実させました。なぜなら、どの縮尺の地図も学習用には必要だからです。社会科の学習においては、はじめは身近な地域から学び、市区町村→都道府県→日本→世界と学習段階に応じて地図のスケールがあがってきます。また、地域の文化や自然の概要、都市間同士の結びつき、人の移動や物流などを学習するためには、それぞれに適した地図の範囲があります。このような学習の場面を想定しつつ、従来から学校の現場で使われてきた冊子地図帳を使い勝手そのままでデジタル化したという点で、ユニークなデジタル地図です。
地理院地図のビューアを表示に使う
「地理院地図」のビューア にアクセスして、上記のURLを外部タイルとして指定するだけです。
PC(Windows/Macintosh)での表示
ツールボタン(❶)をクリック
画面右端に8つのアイコンが出てきますので、その中から「その他」ボタン(❷)をクリック。
左側にさらに6つのボタン一覧が出てくるので、その中から「外部タイル」ボタン(❸)をクリック。
外部タイル読込ウィンドウが画面が出てきたら、URL入力欄(❹)に上記タイルURLを入力。
「上記の内容で読込開始」ボタン(❺)をクリックすると、タイルが読み込まれます。
設定ファイルを使った外部タイルの読み込み
「地理院地図」のビューア にアクセスして、上記のURLを「外部タイル読込」画面を表示し、設定ファイルを指定します。
ここで上記の設定ファイルlayers_hcpc_tiles.json をダウンロードすることができます。Windowsの場合は、layers_hcpc_tiles.jsonのファイル名(リンク)を右クリックして、メニューから[名前をつけてリンク先を保存…]を実行してください。Macintoshの場合は、Ctrl+クリックでメニューを表示し、[リンク先を別名で保存]を実行してください。
地理院ビューアの表示ズームレベルを9以下にしておく。後述の「読み込み時の注意」を参照のこと。
❶の「保存した設定ファイルを選択」ダイアログを使って、上記でダウンロードした設定ファイル(layers_hcpc_tiles.json)を指定する。
❷の「上記の内容で読込開始」をクリックする。
スマホ・タブレットでの表示
基本的には上記の設定と同じですが、初期に表示される画面が違う場合があります。
スマートフォンやタブレットで地理院地図を閲覧した場合、PC版とは異なる場合があります。その場合は❶~❸のボタンをタップすることで、PC版に切り替えることができます。あとは上記PCでの操作と同じです。
読み込み時の注意
無料公開タイルはズームレベルが9までとなっているため、レベル9以上で表示されている状態で読み込みを行なうと、表示に変化は起きず、タイルが読み込まれていないように見えます。その場合、地図のズームレベルを下げることで、読み込んだタイルが見えるようになります。地理院地図のビューアで、現在どのズームレベルで表示しているのかは、ブラウザに表示されているurlで確認をすることができます。
leaflet.jsを表示使う
以下のコードをHTMLファイル(たとえば、index.html)に記述して、Chromeなどのブラウザに読み込むだけで、leaflet.jsを使って公開地図タイルを表示することができます。
<!DOCTYPE html>
<html>
<head>
<meta charset="UTF-8">
<title>Leaflet.jsを使った表示</title>
<link rel="stylesheet" href="https://unpkg.com/leaflet/dist/leaflet.css" />
<script src="https://unpkg.com/leaflet/dist/leaflet.js"></script>
<style>
#map { height: 800px; width: 100%; }
</style>
</head>
<body>
<div id="map"></div>
<script>
var map = L.map('map').setView([35.692312, 139.743487], 9);
L.tileLayer('https://www.hcpc.co.jp/tiles/{z}/{x}/{y}.png', {
maxZoom: 9,
attribution: '© 2024 <a href="https://www.hcpc.co.jp">平凡社地図出版</a>'
}).addTo(map);
</script>
</body>
</html>
<body>タグの中で、leaflet.jsで公開地図タイルを表示している部分の解説
地図を表示するため、idが”map”の<div>コンテナを定義します。
L.mapを使用して地図を初期化し、最初に中心にもってくる地図の座標(たとえば、「東京都千代田区九段南」)を設定します。
L.tileLayerを使用して平凡社地図出版の公開地図タイルのurlを指定し、地図の最大ズームレベル(9)を指定し、タイルレイヤーに読み込みます。
公開地図タイルのクレジットを指定します。
上記タイルレイヤーを地図(map)に追加します。
ここから上記のindex.html をダウンロードすることができます。Windowsの場合は、index.htmlのファイル名(リンク)を右クリックして、メニューから[名前をつけてリンク先を保存…]を実行してください。Macintoshの場合は、Ctrl+クリックでメニューを表示し、[リンク先を別名で保存]を実行してください。
地図タイル仕様
データ形式:ラスター(png)
大きさ:256×256 px
タイル方式:XYZ方式
解像度:96 dpi
投影法:EPSG3857(Webメルカトル)
Zoom Level:日本(0~9)、世界(0~5)
地図タイルの既知の問題点
当地図タイルの書き出しについては、最善の注意を払っておりますが、以下のような問題が発生しています。これらは、データ構造とタイル書き出しプログラムとの間で発生する問題であり、まだ完全に解消することができておりません。ご利用にあたって、ご了承ください。現状では、地名表示が最適でない場合もあるかと思いますが、今後さまざまな精度向上の取り組みを進め、随時更新をしていく予定です。更新については、ホームページでもお知らせいたします。
文字同士、文字と記号が重なる部分がある。
属性(カテゴリ)が異なる地名(たとえば、「都市名」と「自然地名」)は、文字配置設定がそれぞれ独立しているため、場所によっては重なってしまう。
ズームレベルを上げていくと、地名が消えることがある。
同じ地名が近くに2つ以上並ぶところがある。
多角形(ポリゴン)や線(ライン)のオブジェクトがタイルを跨ぐ場合、地名がそれぞれのタイルに重複して表示される場合がある。
河川名が対象の河川から極端に離れたり、近づきすぎたりするものがある。
一般図地図タイル価格表
※世界のZoom Level 6,7は開発中。2025年3月にリリース予定。 ※すべて税込みの値段です。商用でのご利用をご希望の方は、info@hcpc.co.jp にてご連絡ください。
地図タイルの拡張およびサポート
有料になりますが、各種の拡張やサポートをご要望に応じてご提供する予定です。
詳細な地図タイルのご提供、製作(日本はズームレベル11[約29万分の1程度の縮尺に相当]まで、世界は7[約450万分の1程度の縮尺に相当]まで)。
統計データを一般図地図タイルに重ねて表示する(たとえば、都道府県別の統計情報を図形表現(円)で日本地図上に表示する、など)。
地名検索を可能にするGeoJSONデータの提供。
カスタマイズ地図タイルの製作(たとえば、小学校の学習に必要な身近な町や村の地図、絵記号での産業分布、歴史関連事項、世界遺産・ラムサール条約登録地の分布、国立国定公園・ジオパーク認定地の範囲、発電所の分布、活火山・断層の分布、天然記念物の分布、動植物の生物分布など)
地図にインタラクティブな仕組みを導入する。たとえば、ポップアップによる地名の読みや情報の表示、音声による地名読み上げ、などが可能です。
Leaflet.jsを使った地図サーバー立ち上げのサポート。
平凡社地図出版公開地図タイル利用規約
最終更新日:2024年5月8日
平凡社地図出版一般図地図タイル利用規約(以下「本利用規約」といいます。)は、平凡社地図出版が公開している日本・世界一般図地図タイル(以下「公開地図タイル」といいます。)の利用に関する事項について定めた規約です。公開地図タイルの利用の際には、有料、無料に関わらず、本利用規約に従っていただくようお願いいたします。
なお、本利用規約の内容は、予告なしに変更することがあります。公開地図タイルの利用に際しては、かならず平凡社地図出版ホームページで最新の内容を確認してください。
利用に当たって
利用者は、公開地図タイルの利用をもって、本利用規約に同意したものとみなします。
知的財産権の取扱い
地図タイルは、国土地理院の許可(測量法に基づく国土地理院長承認(使用)R 6JHs 64)を得て作られたものです。
利用者は、公開地図タイルに関する以下の事項について理解した上で、国土地理院および第三者の知的財産権を尊重するものとし、公開地図タイルの取扱いについては慎重な配慮を行うようにしてください。
無料公開地図タイルの著作権は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスCC BY-NC-ND のもとでライセンスされています。したがって、本タイルは、どなたでも本利用規約にしたがって自由に利用できます。ただし、無料公開地図タイルは、商用利用および改変しての利用はできません。商用利用、あるいはカスタム化をご希望の方は、有料プランをご検討ください。
他のサイトの利用規約との関係について
コンテンツが、コンテンツ提供者の他のサイトにおいても公開されている場合には、他のサイトの利用規約(法令等に定める利用条件とは別に、当該サイトにおいて独自に設けられた利用条件をいいます。)と本利用規約が異なるときは、本利用規約が優先するものとします。
準拠法と合意管轄について
本利用規約は、日本法に基づいて解釈・運用されるものとします。
本利用規約によるコンテンツの利用及び本利用規約に関する紛争について、司法的判断を求める場合には、日本国東京地方裁判所を第一審の専属的な合意管轄裁判所とします。
禁止している利用について
公開地図タイルに関し、以下の利用を禁止します。
公序良俗に反する利用
国家・国民の安全に脅威を与える利用
無保証、免責事項、地図タイル提供者への弁償について
弊社は、公開地図タイル製作については十分な注意を払っていますが、その内容の完全性・正確性・有用性・安全性等については、いかなる保証も行いません。また、利用者が公開地図タイルを利用したことにより損害が生じても、一切の責任を負いません。
公開地図タイル提供者は、利用者が本利用規約に違反し、または、利用者による第三者の権利侵害に起因又は関連して生じたすべての苦情や請求についての一切の責任を負いません。このことに関連してコンテンツ提供者に費用が発生した場合(賠償金の支払いを含みます。)、利用者は当該費用を弁償するものとします。
リンクについて
公開地図タイル掲載のサイトは、原則としてリンクフリーとします。ただし、リンク元サイトに掲載されている内容が公序良俗に反する、法令等に違反し、または、違反するおそれがあると認められる場合には、本サイトへのリンクをお断りします。
なお、リンクの設定をされる際は、以下のことを守ってください。
本サイトへのリンクである旨を明示すること。
本サイトが他のページ中に組み込まれるような設定にしないこと。
その他
本利用規約に違反するような行為等を発見された場合には、info@hcpc.co.jp にご連絡ください。
用語解説
地図タイル:データ容量が大きな地図データを、ネット経由で効率的に使うための技術のひとつです。大きな地図を細かな正方形タイルに分割し、地図表示に必要な部分だけをブラウザなどのクライアントに読み込むことで、ユーザーの表示待ち状態をできるだけなくすことを目的としています。
ズームレベル:実際の地球と地図の大きさの比率を示す「縮尺」とは異なり、デジタル地図の詳細さを示す指標です。ズームレベル0では地球全体が1枚の地図タイルで表されます。ズームレベルを1に上げると、地図は4つのタイルに分割され、各タイルは前のレベルより詳細な情報を表示できます。このように、ズームレベルを1つ上げるごとに、タイルを縦横それぞれ2倍の枚数にしていくので、計算上の枚数は4のズームレベル乗となります。ズームレベル18では、個々の建物の形が識別できるほど詳細な情報を表現できますが、計算上では4^18=約687億枚のタイルが必要です。この仕組みによって、ユーザーは、ズームレベルが高いほど、より多くの情報を地図上で見ることが可能になるわけです。
本地図タイルの利用に関するお問い合わせ、拡張のご相談は、info@hcpc.co.jp にてお願いいたします。
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